第3回One Bridge Seminarが開催されました

Event Date: 11.5.2018

2018年度第3回OneBridgeセミナーが一橋大学国立キャンパスのマーキュリータワーで開かれました。今回は漆とロック株式会社より代表の貝沼航氏をお招きし、”漆はロック!?伝統産業と向き合う仕事”と題してお話しいただきました。

 貝沼氏はまず参加者に「伝統芸能は残すべきか?」と質問され、学生たちは自らの留学経験や、育ってきた地域の特色などを手掛かりに、各々伝統文化について考えました。日本だけでなく、海外の視点での意見も述べられましたが、ほとんどは「残ってほしい」または「残っていくのではないか」というものでした。

 その後、漆についてお話がありました。日本人と漆の歴史は非常に長く、一万年以上前の縄文時代に遡るそうです。漆は木を植えてから樹液を採取するまで約15年もかかり、また役目を終えた木は伐採となるため、子や孫のために先を見越して漆を育てる必要があります。日本にはそのような計画的で高度な文化が昔からあったということです。また1本の木から採れる漆は200mlと大変希少で、これはお椀ならば僅か15個分ほどが塗れる量だそうです。時間も手間も要する漆器ですが、技術者や職人により工芸品として極められ、16世紀頃のヨーロッパでは「japan」とは漆の意味だったという興味深いお話もありました。
 
会津漆器については、現在は生産額もバブル期の1/7の規模にまで縮小し、本物の漆器に触れる機会は減少しているとのことでした。
貝沼氏は本物の漆器と触れる機会を通して「伝統」について関心を持つ人を増やすこと、学生達の意見の様に「残ってほしい」という思いを増やすことが、伝統を残すことにつながるとお話しされました。そして、そのためには、木を育て、人を育てる。職人魂を大切に、よいものを守り育てていく循環を作る。「伝え手」として「作り手」と「使い手」をつなぐ、というご自身の使命についても熱く語られました。目先で儲かるものだけでなく、守りたい、残したいものにこだわるという思いが「漆とロック」という社名にもこめられています。

今回も渋沢スカラープログラムの学生だけでなく、留学生や法科大学院より多くの学生が参加し、充実したセミナーとなりました。ネットワーキングの時間には、貝沼氏の持ってこられた漆器を囲んで談笑したり、貝沼氏から起業の経験を聞く学生の姿も見られました。参加者からは「何をいちばん人に伝えたいかを大切にしていきたいと思った」「モノづくりに対する職人の強い志を感じた」等の感想も聞かれました。