第1回・第3回One Bridgeセミナーが開催されました

Event Date: 5.25.2020

 

2020年度第1回・第3回One Bridge セミナーが、Zoomのwebミーティングにて開催されました。今回はKreab代表取締役社長土井正己氏を講師にお招きして「トヨタはなぜ強いのか?」”Why Toyota is so strong?”と題してお話いただきました。

現在、外資系コンサルティング会社で官公庁や企業のコンサルタント業務に従事される土井氏は2013年までトヨタ自動車に30年間勤務。広報、宣伝、海外事業のトップマネジメントなどを経験後、グローバルコミュニケーション室長、広報部担当部長を歴任された方です。講義の前半ではトヨタで経験された様々な出来事を特に危機にスポットを当てて紹介いただきました。

土井氏がトヨタ自動車に入社された’80年代前半はJapan as No.1と謳われた時代でした。その象徴の如く国内外で圧倒的な信頼と実績を誇っていた同社も2008年のリーマンショックにより初の赤字決算を経験、そして豊田章男氏が社長就任の頃、アメリカでトヨタの品質問題が起こり、結果として世界的大規模リコールにつながりました。これは2009年にカリフォルニア州で起きたトヨタ車が急加速し一家4人が死亡した事故がきっかけです。最終報告によると、2重に敷いたマットがアクセルに引っかかって戻らなかったという原因でしたが、この事故が大々的に報道されたことより、トヨタのブレーキが利かないとの報告が相次ぎ、いわゆるトヨタバッシングが起こりました。

章男社長が公聴会に召喚された当時の映像を見ながら、その現場がいかに大変であったか、当時広報担当部長として現場を取り仕切っておられた土井氏の説明は臨場感たっぷり、他には買収による捏造報道などもあったとのこと、マスコミや世論の影響力や怖さを改めて思い知らされました。この危機をどう乗り越えたのか、土井氏の話は続きます。先ずは素直に反省し品質改善に努める、社長自らアメリカのTV番組に出演、アメリカから新聞記者を日本に招聘し現場を見せる等、何も隠さずありのままを伝える。言葉が通じなくてもFace to Faceの姿勢を貫くことで、記者達の考えにも変化が見られ、次第にトヨタサポートの記事が増えたとのこと、更には米国運輸省に関する暴露報道まで出てきたとのお話でした。

こうした数々の経験を踏まえ、リスクマネジメントのキーポイントとして挙げられるのは次の4つだということです。1.企業のトップの真摯な姿勢、2.社内コミュニケーションの大切さ、3.全社対応であること、Face-to-faceコミュニケーション、4.外部コンサルタントの活用。

また危機直面時の対応のポイントとして重要なことは、1.近江商人の心得に通じる「三方よしの精神」(売り手よし、買い手よし、世間よし)、2.コンプライアンス・マネジメント、 3.社員が問題を隠蔽しない教育や社内の環境整備、4.トップとメディアとの関係構築、とのお話でした。

ドラマチックな土井氏の第1回講義は時間切れとなり、後半は日を改めて6月15日(月)第3回OBSとしての開催となりました。

講義の後半では「トヨタはなぜ強いのか?」として、トヨタの創業時から変わらぬ企業理念「イノベーションを起こして社会に貢献せよ」という考えを紹介いただきました。強力でぶれない企業のビジョンとコミュニケーション力、その結果パブリックが味方となり企業の持続的成長を支えてくれるということでした。

「ブラジル環境サミット(1992)」を契機に、環境と産業の両立が議論され始めた‘90年代前半から開発の始まったハイブリッド車プリウスの誕生、続くアクアの開発は一般人にも手が届くというコンセプトから、等興味深い歴史も紹介いただきました。

またイノベーションとはゼロから何かを作り出すだけでなく、今ある問題を解決することでもある、そしてそのイノベーションの連続性が大事だということ、それには社会課題と技術の両方の理解が不可欠だというお話でした。

最後にこれから日本はどのようなスタンスで世界に貢献していくべきかという大きなテーマについてもふれ、先進国の社会貢献がイノベーションを作り出し、後進国が成長する環境を与えるべきという理想を語られて講義は終了しました。

講義後のQ&Aセッションでは多くの質問が寄せられました。悪いイメージの効果的な払拭方法、コストを顧みずリコールを受け付けた背景、章男社長のパーソナリティ、外国人従業員の統率について、社内文化や品質確保の取り組み、商品開発時の目標設定、来たる電気自動車時代の到来について、役員に日本人が少ない理由は?他、トヨタ車という身近な製品のデザインやターゲット層に関する質問も飛び出す等、非常に楽しく有意義な時間となりました。また多くの参加者より、現場で活躍されたご本人より直接経験談を伺えたのは大変刺激的でよい機会であったという感想が多く聞かれました。