第2回OneBridgeセミナーが開催されました

Event Date: 6.8.2020

2020年度第2回One Bridge セミナーがZoomのwebミーティングにて開催されました。今回は渋沢スカラープログラム(SSP)のプログラムディレクターであるクリスティーナ・アメージャン教授がEndurance: Shackleton’s Antarctic Adventureと題して、極地探検家アーネスト・シャックルトンの体験記を紹介し、極限状態の中でのチームを率いるリーダーの資質について皆で話し合いました。

アーネスト・シャックルトンは イギリスで20世紀初頭に3度も南極探検隊を率いた探検家です。3度目の遠征として、1914年8月、彼を隊長とする28名の一行は南極大陸の横断をめざしてエンデュアランス号でイギリスを出発します。

ところがウェッデル海で船は流氷に阻まれ座礁します。南極の冬は-40度近い極寒に加え太陽が昇らない暗闇。夏を待って船の上で越冬したものの、船は割れた氷の圧力に耐えきれず押しつぶされてしまいます。急遽一行は氷上へ荷物を避難させてキャンプを設置、沈没した母船はあきらめて3つの救命ボートで北の無人島エレファント島へ上陸します。

そこからは氷上で犬ゾリでの移動を試みるも難航、多くの隊員は既に体力消耗が激しい状況。シャックルトンは目的を「南極大陸横断」から「全員の生還」に変更、一時的にこの無人島に22名の隊員を残す決断をし、力の残っている6人で一番近い南ジョージア島へ戻ります。6人が島にたどりついたところでとうとうボートも崩壊。これ以上の航海が不可能と判断した彼は、更に弱った隊員2名+世話役1名を島の入り口に残し、最後は3人で山を越えて51キロ離れた捕鯨基地まで歩き、やっと救助の要請に成功します。

救援船を従えて戻った彼は、まず島の対岸で残した3名を拾い、更にエレファント島に戻って残る乗組員22名全員を4ケ月ぶりに無事救出させることに成功、結果として22か月かけて28名全員の無事生還を成し遂げる、という途方もない体験記でした。

セミナーではドキュメンタリーを視聴後、少人数のグループに分かれて、シャックルトンから学ぶべきリーダーの資質について意見を出し合いました。

様々なエピソードに裏付けられる多くの点があげられました。

・柔軟な姿勢で状況に応じて目的を変えていくことの重要性

・隊員の選び方。能力・特技・性格の把握と適材適所での活用

・階級制の廃止、隊員を年齢や身分に関係なく同等に扱うこと

・楽観主義者であること

・One for Allの精神

今から100年以上も前、あきらめれば遭難死という極限状態で、南極横断という当初の目的に固執せず、その時々で最善の決断をし、結局は全員生還を果たしたシャックルトン。彼は様々な特技を持つ隊員を選抜しますが、全員を同等に扱ったと言われています。雑用も全員に与えると共に、生きるモチベーションとなるよう様々な任務を忙しく与え続けたそうです。そして金銭的に余裕がなくても自分より先ず隊員に優先的に良い道具や衣類を用意したそうです。彼は隊員をよく知り、愛し、適格な判断と優れたリーダーシップにより皆からも信頼され素晴らしいチームワークを築きあげました。「報酬は帰ってから。“If we go home…”でなく“When we go home…”」というような前向きなエピソードも紹介されました。

残された映像からは次から次へと降りかかる困難と当時の過酷な状況が伺えました。更に飢餓、病気、恐怖等もあったと思われますが、一方、気晴らしにスポーツや娯楽に興じる様子や隊員達の笑顔が見られるシーンもありました。食料が尽きてアザラシやペンギン、最後にはソリ用の犬まで食したと伝えられますが、南極で船も食料も失うという絶望的な状況下でも、楽観主義で隊員には生きて帰れるという希望を与え続けたシャクルトンのリーダーシップには今なお学ぶ点が多く見つかりました。

最後に、この体験談を参考に、現在のコロナ禍における自分たちのあるべき姿についても考えました。

学生からは、金銭的な問題、ソーシャルディスタンスで外出できない、人に会えないストレス、将来についての不安、気分の落ち込み等、様々な問題があるが、明るい未来を信じて希望を捨てないこと、精神状態の安定を保つこと、今できることを考えること、不確かな情報に惑わされないこと、等の意見が出ました。将来が見えない中でどうやって今を前向きに生きていくべきか、非常に考えさせられるセミナーとなりました。